長崎県平戸市

福田酒造

『福海』『福田』
福田酒造

日本本土最西端の酒蔵で海を表現する酒

330年以上続く長い歴史

福田酒造は、長崎県平戸島・志々伎の地にて元禄元年(1688年)、平戸藩主から酒造の許可を得て創業しました。霊峰・志々伎山を仰ぎ、澄んだ海に囲まれたこの地は、古くから海上交通の要所であり、神話や異文化、信仰が交錯する歴史的土地です。

志々伎山は古代より海上交通の目印とされ、神話の時代から朝鮮半島との交易拠点として知られていました。江戸時代には松浦藩が島全体を統治する中、志々伎神社への参拝道中に休憩所を設ける目的で、福田酒造の創業者に酒造免許が下ろされたのが酒造りの始まりとされています。さらに近隣には日本最初の貿易港として栄えた平戸の歴史があり、キリスト教や異文化の影響も残ります。かつて日本酒の消費量が多かった生月島では、酒を自ら造る文化もあり、福田酒造の存在は地域の歴史と信仰、文化が織りなす必然の流れの中で生まれました。

創業者・福田長治兵衛の「酒造りは、心でつくり、風が育てる」という想いを受け継ぎ、330年以上にわたり15代にわたって酒を醸し続け、令和5年、15代目蔵元が新たに銘柄を「福田」から「福海」へとリブランディングしました。

海と山と、潮風が育てる平戸島の酒

福田酒造がある平戸島は、東西8km、全長30kmの細長い島。蔵はその南部、目の前に漁港を望む海辺にあります。天然のヒラメやウチワエビ、クエなど、新鮮な魚介が名産。白身魚が多く、お刺身文化が根付き、淡麗な味わいの日本酒との相性も抜群です。

蔵を取り囲む風景は、青く澄んだ海、霊峰・志々伎山、そしてのどかな集落。その自然の豊かさと静けさが、福田酒造の酒に独特のやさしさと透明感を与えてくれています。

また、志々伎山から吹きおろす風は、山と海を結ぶ象徴でもあり、蔵の中にも潮風が吹き込み、この潮風に運ばれた微生物が酒造りに影響を与えていると考えられています。「風が育てる酒」という言葉にも、深い意味が込められていることがわかります。

ここでしか出会えない自然との共存は、酒造りにとって欠かせない要素。人も文化も自然も、すべてが調和するこの地だからこそ、他にはない酒造りが可能になる。福田酒造はまさにこの平戸島の風土そのものを体現しています。

“風が育てる”という哲学のもとに

「酒造りは心でつくり、風が育てる」
創業者から代々語り継がれてきたこの言葉が、福田酒造の酒造りの原点です。かつては曖昧に感じていたこの言葉も、潮風が蔵に微生物を運び込んでいるという学びとともに、確信へと変わりました。

現在、蔵では木桶仕込みや生酛造りなど、昔ながらの製法を取り入れた挑戦が進んでいます。とくに「海を表現する酒造り」をテーマに掲げ、土地の個性をまっすぐに反映させた酒に力を注いでいます。

「ないものねだりをしない」という信念のもと、この土地にあるすべてを活かして醸す。平戸の風、空気、水、微生物が混ざり合い、ようやく完成するお酒には、どこにも真似できない福田酒造ならではの風土が宿っています。

心でつくり、風が育てる

創業者・福田長治兵衛の言葉「酒造りは心でつくり、風が育てる」。この想いは、15代にわたり蔵の中心に据えられてきました。手間を惜しまず、自然に寄り添い、人の想いを重ねる。その積み重ねが、福田酒造の味をつくっています。

「福海」の誕生も、理念に立ち返ったからこその決断でした。ただ新しくするのではなく、「この地とどう向き合うか」「未来へ何を届けたいか」を考えた末に生まれた酒。見た目も、味も、香りも、“志々伎の風”を感じさせるよう設計されています。

小さな蔵だからこそできる丁寧さと、蔵人同士の深い信頼関係。酒は、ただの商品ではなく、彼らの生き方そのものです。

300年後もこの蔵があり続けるために

330年を超える歴史の中で受け継がれてきた技と心。それを次の300年へつなぐために、福田酒造は今、リブランディングや技術革新に取り組んでいます。その象徴が新ブランド「福海」です。

ラベルの表には蔵から見える山のシルエット、裏には海側から望むその山の写真。古くは遣唐使が目印にしたともいわれるこの山は、海の神が祀られた神聖な存在でもあります。人里離れた限界集落で育まれるこの酒に込めた想いは、飲む人に自分の「海の記憶」を呼び起こしてほしいということ。釣りや海水浴、浜辺の思い出を思い出しながら、遠い平戸島の風土に思いを馳せてほしいと願っています。

「海を表現する酒造り」を掲げ、土地の個性を活かした味わいづくりを目指す「福海」は、潮風や微生物、自然のすべてを力に変える挑戦。ただ伝統を守るだけでなく、風土の価値を再解釈し、未来へ伝える酒なのです。

今ある自然と共に歩むことでしか、次の世代へとこの蔵はつなげない。不便だからこそ生まれる価値があり、ここにしかない味がある。福田酒造の未来は、この地で、この空気の中に息づいています。

蔵元:福田 竜也

1982年長崎県平戸市生まれ。 東京農業大学卒業後、酒類販売店にて修行をした後、2007年家業である福田酒造へもどり、 2010年『福田』ブランドを立ち上げ。 2015年 自醸田にて、山田錦の作付けスタート。 2022年 福田酒造株式会社 15代蔵主就任。 2022年『山田錦』無農薬栽培米作りスタート・『生酛造り』へ挑戦。 2023年『福田』から『福海』へ リブランディング。現在へ至る。 福田酒造の酒造りは、  ご先祖様の『酒は心で造り・風が育てる』を体現し、『海を表現する酒造り』に挑戦するとともに、『伝統を守り、地域と共に生き、未来を育てる』その想いを胸に、醸す事です。

 

杜氏:福田 信治

1986年長崎県平戸市生まれ。東京農業大学卒業後、岐阜県にて酒造会社にて修行した後、家業である福田酒造へ戻る。2025年より、杜氏へ就任。