旭日酒造

『十旭日』『八千矛(出雲大社御神酒)』『酒文」』『出雲だより』
旭日酒造

神々の集まる出雲でいつまでも愛され親しまれる酒造り

伝統技法で日本酒を醸す出雲の老舗酒蔵

​旭日酒造は、明治2年(1869年)に島根県出雲市で創業した、150年以上の歴史を誇る酒蔵です。はじめは「白雪」の名で酒を醸していましたが、やがて「十旭日(じゅうじあさひ)」へと改称されます。これは、明治40年に山陰を訪れた東宮(後の大正天皇)に献上した酒が「天下一の美酒」と称され、「旭日」の文字を揮毫されたこと、そして当時の当主が信仰していた妙見山の守り紋「切竹矢筈十字」に由来します。

2013年には、地元の古川酒造から出雲大社の御神酒「八千矛」の銘柄も受け継ぎ、現在は二つの銘柄を大切に醸しています。

蔵は大正時代に建てられた風情ある土壁造りで、地域の自然や風土と深く結びついた営みを今に伝えています。現在の当主は、蔵元家で数えて11代目。酒造業としては5代目からの歩みであり、家業の背景や土地の歴史を丁寧にひもときながら、伝統と向き合い続けています。150年の時を超えて、出雲の町に息づく旭日酒造の酒は、今日も変わらぬ誠実さとともに醸され続けています。

神々の里・出雲の自然と恵み

出雲は、年に一度日本中の神々が集うとされる神話の地。北に日本海、南に中国山地、東西には宍道湖や神西湖が広がり、斐伊川や神戸川といった清流が流れる豊かな自然に恵まれています。酒蔵があるのは、そんな出雲平野の中心部。出雲市駅から歩いてわずか5分、商店街の中に佇む意外な立地に多くの人が驚きます。

山々に抱かれた地で育った力強い米、北山山系から湧く清らかな水、そして蔵付きの微生物たちと対話しながら、酒は醸されます。自然の恵みを意識するようになったのは、大人になり酒造りに携わるようになってからのこと。日々の仕事を通じて、いかにこの土地が豊かであるかを肌で感じています。昔は斐伊川沿いに酒蔵が並んでいたというこの地で、今も自然とともに歩む酒造りが続いています。

伝統技法と地元の米で醸す、出雲の個性光る酒

旭日酒造の酒造りは、土地の空気と蔵の呼吸、その中に潜む“見えない何か”との対話から生まれます。16年前の20BYより始めた生酛仕込みは、蔵に宿る個性を確かめる手段として、現蔵元が3年間当時の杜氏に反対されていたのを、やっとの思いで挑戦されたものでした。仕込み蔵に棲みついた菌や木の香り、時間をかけて育まれた微生物の働きに耳を傾けることで、十字旭日ならではの味わいが立ち上がってきます。

フルーティーさや飲みやすさを追い求めるのではなく、噛みしめるように味わいが広がる「十旭日」。その奥行きには、丁寧に作らた確かさと、人の生き方にも似た複雑な魅力があります。

“出雲に十旭日あり”と評価される酒蔵を目指して

旭日酒造が目指すのは「自分たちの蔵でしか生まれない酒をつくること」。かつてほとんど酒を飲まなかった当主が、蔵に戻り、無知ゆえの妄想と情熱で木本仕込みに挑戦した姿勢には、旭日酒造の核となる精神が宿っています。「ありのままで」を貫く姿勢。ディープな日本酒の世界に飛び込み、時に周囲の反対を押し切ってでも形にしたいという想いが、今の十字旭日の味を築きました。蔵の個性が酒に宿るように、人の個性も酒に映し出される。

香りや派手さよりも、噛むほどに染みる味を目指すのは、自分たちが心からおいしいと信じられる酒をつくるためです。時代に流されず、しかし固定観念にとらわれず。旭日酒造は、静かに、しかし確かな熱で、自らの理念を貫いています。

伝統を大切に品質の向上と作業の効率化を目指す

旭日酒造は、これからも伝統的な酒造りを大切にしながら、現代の技術や設備を柔軟に取り入れることで、品質の向上と作業の効率化を目指しています。特に、地元の米や蔵に棲みつく天然酵母、微生物との共生を大切にし、生酛造りや熟成酒など多様な手法に取り組むことで、酒の表現の幅を広げています。

また、食との相性を重視した酒造りにも力を入れており、日常の食卓に寄り添う酒としての価値を発信していきます。旭日酒造は、伝統と革新のバランスを保ちつつ、地域と全国の架け橋となるような存在を目指し、これからも挑戦を続けていきます。

蔵元:佐藤誠一

 

杜氏: