秋田県にかほ市

飛良泉本舗

『飛良泉』『飛囀』『マル飛』
飛良泉本舗

東北最古の酒蔵が貫く、“人のココロを動かす酒造り”

室町時代から続く酒造り

秋田県にかほ市にある飛良泉本舗は、創業が室町時代の1487年という、東北地方で最も古く、日本全体でも3番目に古い歴史を誇る老舗酒蔵です。27代にわたり、酒造りの技術と精神を受け継いできました。

創業は応仁の乱の時代にまで遡ります。初代は当時住んでいた大阪・泉州での商いが戦乱によって続けられなくなり、安全な場所を求めて北へ移動。その地が、自然豊かな現在のにかほ市でした。

以来500年以上にわたり、この地で酒造りを絶やすことなく継続しています。歴史の重みとともに歩んできた蔵の姿は、現代においても人々の心を打つ存在であり続けています。

鳥海山と日本海に抱かれて

飛良泉が位置する秋田県にかほ市は、名峰・鳥海山と日本海の自然に囲まれた土地です。鳥海山から湧き出る豊富な伏流水は、清らかでミネラル豊富。この水が、飛良泉の酒造りにおいて重要な役割を果たしています。

さらに、この地域は四季を通じて山海の恵みにあふれており、春には山菜、夏には岩牡蠣、秋には北限のいちじく、冬にはハタハタや鱈が水揚げされるなど、地元の食文化も豊かです。

こうした自然の恵みとともにある生活の中で、酒もまた人々の暮らしに深く根付いています。自然環境と共生しながら酒を育んできた飛良泉の味わいには、にかほの風土がそのまま映し出されています。

雪と潮風が育む風味

蔵の立地は日本海の目の前。冬になると日本海から吹き付ける潮風と雪にさらされ、昼夜の寒暖差も大きいという厳しい自然環境にあります。

こうした気候条件は、酒造りにとって大きな影響を与えます。飛良泉ではこの環境を活かし、「山廃仕込み」と呼ばれる伝統的な酒母製法にこだわっています。山廃仕込みは自然の乳酸菌や酵母の働きを活かし、より複雑で力強い味わいを生み出す手法。

この製法は高度な技術と長い時間を要しますが、飛良泉では令和5酒造年度からすべての酒を山廃で仕込む体制に切り替えました。自然と向き合い、手間を惜しまず、蔵人の真摯な姿勢が酒の味に現れています。

受け継がれる蔵人の魂

飛良泉本舗は、時代の変化に流されず、代々の蔵元と杜氏が一丸となって、酒造りの信念を守り続けてきました。

山廃という伝統製法を継承しながらも、現代の食文化や嗜好に合わせた味わいへの挑戦も続けています。その背景には、「人のココロを動かす酒造り」という蔵の明確なコンセプトがあります。単に美味しい酒を目指すのではなく、飲んだ人の記憶に残り、心を動かす存在でありたい。その想いを軸に、味・香り・余韻すべてにこだわった酒造りが行われています。

歴史ある酒蔵でありながら、常に前を向く姿勢が、飛良泉の魅力をいっそう際立たせています。

地域との連携や新たな試みにより未来へ向けた酒造り

*地域との連携強化
地元にかほ市での米作りを強化し、若手農家との連携を開始しています。​これにより、地元産の高品質な酒米の確保と、地域農業の活性化を目指しています。

*水資源の活用 ​
鳥海山の豊富な伏流水を仕込み水として使用し、その特徴を活かした酒造りを追求しています。​2024年醸造年度(R6BY)より、異なる水源を用いた仕込み水のバリエーションを試験的に導入し、味わいの違いを楽しめる製品の開発を予定しています。 ​

*地域貢献とブランド発信
秋田県は日本で最も人口減少が進む地域の一つですが、飛良泉本舗は地元の魅力を発信し、地域の活性化に寄与することを目指しています。​また、クリエイティブスタジオKiQとのコラボレーションにより、デザイン性の高い製品を開発し、国内外へのブランド発信を強化しています。 ​

これらの取り組みを通じて、飛良泉本舗は伝統を守りつつ、地域との連携や新たな試みにより、未来へ向けた酒造りを推進しています。

蔵元:齋藤雅昭

昭和62年生まれ。地元高校を卒業後、「東京のど真ん中」に憧れ、駅伝の強豪になる前の青山学院大学へ進学。経営学を志すも、気づけば学びの中心は“食”と“酒”。毎日のように食べ歩き、飲み歩いた結果、在学中に体重を25キロ増量。その後、縁もゆかりもなかった広告業界に飛び込み、約7年間、新橋や赤坂の夜を駆け抜けながら、食と酒への理解をさらに深める。退社を機に秋田へ戻り、秋田県総合食品センターで醸造を学ぶ。2018年、実家に専務取締役として参画。2022年には杜氏制度を廃止し、自らを中心としたチーム醸造へと大きく舵を切る。R5BYからは全量山廃造りへとシフト。ストイックに身体を追い込みながら生まれるその酒は、力強さと洗練を併せ持つ一本に。そして自身も大学時代に蓄えた25キロをすべて削ぎ落とし、酒と共に“スタイリッシュ”へと進化を遂げた。

 

杜氏:齋藤 雅昭