山口県山口市

新谷酒造

『わかむすめ』
新谷酒造

四季に寄り添う小さな酒蔵

新谷酒造は1927年に創業し、もうじき100周年を迎える小さな酒蔵です。山口県の中央に位置する「山口市徳地」にあります。山口県における山田錦発祥の地で、栽培技術も高く、県内では山田錦の栽培量が最も多い地域でした。自然豊かな地で、一級河川「佐波川」の恩恵を受け、良質な米と清らかで豊富な水があることから、かつては小さな町に5軒以上もの酒蔵がありました。仕込み水である佐波川の伏流水は超軟水で、創業当初から一貫して、なめらかな口当たりでしっかりとした味わいのある旨口の酒を造り続けてきました。イノシシ猟も盛んなため、ジビエ料理にもよく合う酒となっています。「和可娘」の名で長年地元の皆様にご愛顧いただきましたが平成19年からは蔵元杜氏となり、冷蔵室を設けて四季醸造のスタイルに変え、主要銘柄は「わかむすめ」と平仮名表記にし、全量無濾過原酒の搾ったそのままを毎月フレッシュな状態でお届けしています。「和を以て季(とき)を醸す」をモットーに、美酒を醸すための人との調和、味わいの調和、呑む人の心の調和、これら3つの「調和」を大切に、四季醸造蔵である私たちは日本の四季に寄り添い、良質な酒を醸すことを目指します。中山間地域で残された最後の一軒となった私たちの酒蔵への地域の期待は大きく、自然豊かな美しい田園風景を守り、山田錦の高度な栽培技術を後世へと受け継ぐことができるよう、しっかりとその使命を果たして行きたいと思っています。

蔵元:新谷義直

1969年兵庫県生まれ。20才の時に跡継ぎのいなかった母方の酒蔵を継ぐため祖父のもとへ帰郷。当時は営業が主だったが結婚を機に酒造りへも本腰を入れるようになった。しかし結婚翌年に杜氏や蔵人らが退職。廃業も考えたがひとりでも造り続けることを決意。平成19年、自らが杜氏となり当時はまだ珍しかった「無濾過生原酒」に拘り酒造りに挑んだが、厳しい船出となった。酒造りがなんとか軌道に乗りつつあった頃、仕込み蔵の梁が損傷し、倒壊寸前となる。これを機に、元々酒造りへのセンスを感じていた妻へ杜氏のバトンを渡し、経営の立て直しを図る。中山間地域での酒蔵が担う役割は大きく、地域貢献できる「企業」を目指している。

杜氏:新谷文子

1978年山口県生まれ。看護師として病院勤務時代に夫と出会う。元々酒好きだったことが幸いし結婚して酒蔵へ嫁ぐ。結婚翌年に長女を授かった喜びもつかの間、長年勤めていた杜氏や社員が次々と退職。廃業を迫られる中、夫はたったひとりでの酒造りを決意し、平成19年に蔵の一部を冷蔵室へと改装し四季醸造を行うが生活は行き詰まる。再び看護師として働く傍ら、看護師と酒造りの二足のわらじ生活が始まる。8年後にやっと酒造りに専従するや否や、今度は冷蔵仕込み蔵の梁が損傷、倒壊寸前になる。廃業の危機に、自問自答を繰り返し諦めきれない想いを胸に平成30年、自ら杜氏を志願し酒蔵再建を決意。今期で杜氏就任6期目となる。